20190118j-01-w510
リーマンショック以降、急激に増加した自殺者数も、2009年あたりから緩やかに減少しています。しかし、それでも未だに年間約2万人の人が様々な理由で自殺をしており、まだ実行はしていないが「死にたい」と思っている人は相当数いる事が見込まれます。

社会のせい?経済のせい?個人のせい?教育のせい?環境のせい?貧困のせい?
要因はたくさんありますが、これらはあくまできっかけに過ぎないのです。

なぜ、人は「死にたい」と思うのか?を一緒に考えてみましょう。

死にたくなるきっかけ

business_karoushi
・病気(精神疾患、ガンなどの大病)
・人間関係(職場、家庭)
・仕事
・いじめ、パワハラ
・過労、重労働
・介護、育児
・借金、経済的理由
・死別、離別
・孤独感


など、うつ病と同じで人によって理由は様々ですが、誰だって生きていれば1回や2回「死にたい」と思った事はあるものです。しかし、それが短期ではなく、長期的に続くと本当に自殺を考える程危険な状態になってしまいます。目安としては、うつ病と同じ2週間ぐらいを目安にしましょう。

つまり、2週間続けて「死にたい」と感じていたら危険です。

何故、死にたいのか?

きっかけがあれば必ず死にたくなるわけではありません。「その時の状態」や「その人の考え方」、「周囲や環境」なども影響してきますが、基本的にはそのきっかけをどう受け止めるかが重要になってきます。

何かが起こった時、それを自分なりに解釈する事を「認知」と言い、この認知が「歪んでしまっている」事が原因なのです。例えば、

・周囲の説得が全く響かない
相手の話に共感できないし、悲観的なので自分にはできない、あなたとは違うなどと考えてしまう。

・生きるか死ぬかの2択
他にも嫌な事を避ける方法はいくらでもあるのに、「死ぬしかない!」と自分を追い込んでしまう。他の可能性を見れない、考えられない状態。


これらの症状があれば、ほぼ認知が歪んでいる状態だと思われます。きっかけだけでなく、受け止め方にも問題があるのです。うつ病などでも治療に「認知行動療法」が使われる場合があり、認知を改善する事がとても重要なのです。

死にたい人の気持ち

yaruki_moetsuki_businessman

◎自己否定タイプ

自分は人より劣っていて、無価値だと感じている。自分が生きている事自体が周囲に迷惑をかけていると思ってしまう。

◎環境否定タイプ
今の環境(職場、学校、家庭など)がとても辛い。理由は様々ですが、正義感が強い人や真面目な人ほど、歪んだ社会に馴染めず、苦しみがちです。納得いかない、不満を多く感じる、受け入れられない、孤独を感じるなどネガティブな受け止め方をしてしまいます。

◎絶望タイプ
将来への不安から未来に希望が持てない状態です。今が幸せのピークと感じる、やりたい事はだいたいやったと感じるなど一見ポジティブに見える考えに至る場合もあります。しかし実際は、将来が暗く見えているから、過去や現在が輝いて見えている状態です。人生に疲れている人が多いです。


どのタイプも共通なのは「理想の自分」「現実の自分」の違いによって苦しんでいます。これも認知が歪んでいる為、「ありのままの自分を受け入れる」、「起きた事をありのまま受け入れる」事が難しいのです。

私はちなみに絶望タイプでした。この先の人生良い事1つもなく、苦しみの時間ばかりが続くのなら、今死んだ方が幸せだと本気で当時は考えていました。とても偏った考え方なのにあの時は宗教にハマった人のように信じきっていました。周囲の声も全く響かず、カウンセリングを受けるまで、自分の認知が歪んでいる事に全く気付いてませんでした。

「死にたい」と思うのは「生きたい」から

死にたいと思うのは身体が生きたいと感じているからです。心が「死にたい」と感じていても、身体はの方はどうにかして生きる方法を探して欲しいとSOSを出している状態です。

心(脳)も身体も満場一致で死にたいと感じた場合、死にたいと思う暇もなく自殺を試みてるのだと思います。よく、電車に飛び込んだり、ビルから飛び降りるような周囲に迷惑をかける死に方をした人を批判する人がいますが、ほとんどの人が「よし、今日自殺しよう!」ではなく、気付いたら、衝動的に飛んでしまっているのです。「周囲に迷惑をかけないように死のう」などと冷静に考える余裕もない人が大半なのです。

そうならないように、身体が一旦今の状況を見つめ直す為に、「あなたは今死にたいと感じている程傷ついてますよ」と知らせてくれているのです。

死にたいと思う程、自分が追い込まれれいる事を、まずは受け入れ認めましょう。そして、SOSをちゃんと出してくれている優秀な身体を褒めてあげましょう。

裕福なのに「死にたい」と感じる

とある記事で、
「貧しい国の子達は今日の食料が無くて、生きるか死ぬかの毎日を暮らしているのに、なぜ裕福な国で何不自由なく暮らすあなたが死にたいと感じているのか?」
と疑問に感じている人がいました。確かに矛盾しているように感じますよね。ですが、人間ってそもそも矛盾しているものだと私は思います。

死が近ければ、「生きたい」と感じ、死が遠ければ「死にたい」と感じるのが通常だと思います。仮に、不老不死で永遠に生きられるとしたら、大半の人がある程度生きたら死にたくなると思います。矛盾というよりは「ないものねだり」と言った方が近いですかね。


それに「餓死」と「自殺」は根本的に似ていると私は思います。食料が無くて身体が死ぬのと、活力が無くて心(脳)が死ぬのは、そんなに大差ないと思うからです。身体か、心かの違いです。

もちろん、自殺は自分の意思かもしれません。しかし、そこまで追い詰められ、「死にたい」と感じるのは自分の意思ではありません。身体の機能が停止するのと同じように、心の機能が停止した時、自殺が起きてしまうのです。

死にたいと思うのは当たり前

電話をする人のイラスト(女性・笑顔)電話をする人のイラスト(女性・怒った顔)
電話をする人のイラスト(女性・泣いた顔)電話をする人のイラスト(女性・笑った顔)
以前の記事で、うつ病になると、喜怒哀楽から喜と楽がなくなり、怒と哀だけは残ると書きました。
うつ病になると顔つきが変わる??~「うつ病のサイン」を見逃さない為に~
具体的には、

:美味しくない、嬉しくない、
:他人のせい、自分のせい、環境のせい
:急に泣く、苦しい、何が哀しいかよくわからない
:趣味・娯楽楽しくない、今まで楽しかったものやお笑い番組に興味なくなる

今を楽しめない、この先もきっと楽しくない、希望もない地獄の日々。それは、誰かに監禁され、奴隷として毎日やりたくない仕事をやらされているのとほぼ同じ状態です。
さらに認知が歪んでいると、それが死ぬまで続くと考えていますので、「死んでしまいたい」と考えるのは人間として当たり前の事だと思います。

うつ病や認知が歪んでいる人は「死にたくなる」のが通常なのです。なので、「死にたい」という感情を改善させようと周囲がどれだけ努力しても無駄です。そうではなく、根本的な問題である認知を改善する事で、「死にたい」という気持ちを減らしていく事ができるようになります。
その為には自分の認知が歪んでいる事を気付かせ、病院での治療や認知行動療法などの適切な治療により、改善していくことが必要です。

まとめ

・2週間以上「死にたい」と思ったら危険
・認知が歪むと死にたくなる
・理想の自分と現実の自分のギャップに苦しむ
・死にたい感情は身体からのSOS
・裕福でも「心が飢餓」だと死にたくなる
・死にたいと感じるのが通常



最後に悩んでいる方への相談サイト・ダイヤルを紹介しておきます。「死にたい」と思ったら、必ず一人で悩まず誰かを頼って下さい。赤の他人というのは意外と相談しやすいものですよ。気を使って話す必要がありませんからね。電話が嫌ならチャットやLINEもありますし、名前や年齢を明かす必要もありませんので、安心して相談してみて下さい。

こころの健康相談統一ダイヤル(厚生労働省)
あなたの地域の相談所へ繋いでくれます
0570-064-556

いのちの電話
チャットでも相談できます
0570-783-556
0120-783-556
(フリーダイヤル)

チャイルドライン
18歳以下の子供を対象にした電話相談です

0120-99-7777

SNS相談(厚生労働省)
こちらはLINEやチャットを中心の相談所をいくつも紹介しています年齢や地域によって相談所が違うので、自分にあった所を見つけましょう。

東京自殺防止センター
こちらは年中無休で受付時間が20:00~05:30と夜中の相談ができるありがたい所です東京だけではなく、岩手・愛知・大阪・宮崎も支店があります。
03-5286-9090


オススメの本♪